オリジナルTシャツ需要の急増で生まれた「ウエアプリントビジネス」とは?
ここ10年で急拡大したウエアプリントの市場
ウエアプリントとは、Tシャツをはじめとする衣類に様々な手法でオリジナルデザインした絵柄や写真、文字などをプリントすること。オーダーグッズの1つで、ここ10年の間に急速に拡大した有望なビジネスでもあります。OGBSマガジンでも読者の要望でウエアプリントの特集をおこなうことが多く、毎年秋に東京・池袋のサンシャインシティで開催されている「オーダーグッズビジネスショー」には多くのウエアプリント関連メーカーが出展し、たくさんの来場者が集まるほど業界が形成されています。
ウエアプリントはどうやって進化してきたのか
もともと、ウエアプリントをおこなっていたのはシルクスクリーン印刷を手掛ける工場でした。アパレル業者などからの依頼で数千枚、数万枚とウエアにプリントしていた工場が多く、100枚以下は小ロット過ぎてプリントを断っていたこともあったそうです。しかし、ユニフォームに貼りつける「ラバーシート」が登場し、レーザープリンターを転写紙にプリントし、それをTシャツに貼り付ける「トナー転写」が開発されたことで、小ロットであってもオリジナルで作れるようになってきました。
そして2007年頃から、爆発的にオリジナルTシャツを手掛けるウエアプリント店が増加してきました。その理由は、製造システムの進化です。パソコンがより高速化し、プリンターも低価格化、高画質化してきて、小規模なショップでも導入しやすくなったからです。「オンデマンド」という言葉が当たり前に使われるようになりはじめた頃と、時期的には同じくらいです。
今後もウエアプリントは需要が拡大する
これまで大ロットの仕事をしてきた「シルクスクリーン印刷」は、製版工程が必要なため、小ロット注文だと高額になってしまう場合がありました。しかしトナー転写やラバーシートなら、版を作らずオンデマンドでプリントしたり、ラバーシートをカットできるため、1枚からでも簡単にTシャツにプリントできます。つまり、「版代不要」「小ロット受注可能」なことを武器にして、「オリジナルTシャツを作りませんか?」とアピールする店が増えたということです。
「オリジナルTシャツを作るには、最低でも100枚頼まないと単価が合わない」と思い込んでいた消費者にとっては、「1枚で手軽に作ることができる」というのは大きな喜びでした。そして消費者認知が進んでいくにつれてオリジナルTシャツだけでなく、スウェットやエコバッグなど商材も拡大し、注文も増加。現在のようなウエアプリント市場が形成されるようになりました。
「Tシャツが1枚から気軽に作れる」ことは、まだ全ての消費者に認知されていません。そのため、今後も市場拡大が予想されています。ウエアプリントを手掛けるなら、需要拡大中の今がチャンスかもしれません。
ウエアプリントについて詳しく知りたい方は、OGBSマガジンVol.17、Vol.19、Vol25、Vol.29、Vol.34、Vol.36をご覧ください。
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