2016.04.06

これだけはチェックしておきたい、レーザー加工機を買う時の12のポイント

チェックポイント

1、TPOに合わせた機種選びを

 レーザー加工機は毎年のように新機種が発表されています。新しい機種は使いやすく、機能も高いですが、「新しいから」と飛びつくのはやめましょう。自分の加工したい素材が何なのか、それをどれくらい並べられるテーブルの広さが必要なのか、その素材を何分で加工できるのか……。それを総合的に判断したうえで機種を選定するのがベストです。

ありがちなのが、「予算をオーバーしたから、必要な出力やサイズよりも一回り小さなものを買ったけど、結局仕事が回らず、翌年に大型を買った」という例。無駄な出費を抑えるためにも、TPOに合わせた機種を選びましょう。

2、欲しい機種のユーザーに話を聞く

 難しいかもしれませんが、一番いい手段がコレです。実際に使っている人に使い心地やランニングコスト、困っている点などを聞いてみましょう。そのためには、メーカーやディーラーにユーザーを教えてもらうか、展示会などに足を運んで人脈を作るしかありません。それは実際に導入した後にも役立つはずです。

ただし、人によっては頭から「全くダメ」と評価する場合もあるので、全てを鵜呑みにするのではなく、実際にどう使っているのか、どんな部分を「ダメ」と言っているのかを見極める必要があります。

3、サンプルを見る時は細かい加工を見る

 展示会に並んでいる加工サンプルのどこを見れば、機械の精度がわかるのか。それはズバリ、細かい加工を施してある箇所です。細かい加工ができているということは、それだけ精度が高く、ヘッドが細かく動くと言うこと。

ただし、レーザー加工は導入した本人のスキルによって加工のレベルも段違いになります。展示会サンプルで細かい加工をしていても、それを自分で再現するにはノウハウを積み上げなければなりません。レーザーはあくまで包丁やノコギリと同じ道具。誰が使っても同じ結果になるわけではないのです。

優れた商品を作るには、失敗を繰り返し、経験を積んでいくしかありません。

4、展示会のサンプルは他のロットも見よ!

 展示会などに足を運ぶと、必ずどのメーカー、ディーラーにも加工サンプルが並べられています。しかし冷静に考えると、並んでいるサンプルは人に見せる前提で作られた「出来のいいもの」。1ロット分のサンプルを見るより、他ロットのサンプルと比較して、仕上がりがどう違うのかをチェックしましょう。

5、他のユーザーを紹介してくれるかどうか

 レーザー加工機を導入してずっと使っていると、おそらく1度や2度は故障するはずです。これはメーカーを責めても仕方のないこと。機械である以上、いつかは故障します。

しかし、故障した時に、滞った仕事をどう処理するのかが肝心です。メーカーやディーラーによっては、その仕事を引き受けてくれたり、自社のユーザーを紹介し、機械が治るまでの仕事を引き受けてくれるところもあります。

故障時の対応が迅速かどうかも大事ですが、今そこにある仕事をすぐにやらなければならない時、こうした対応をしてくれると嬉しいですね。

6、必ずデモをしてもらう

 そんなの当たり前、と思うかもしれませんが、デモをしてもらうとき、ただメーカーやディーラーが用意したサンプルを加工している様子を見るだけではダメなんです。導入したら自分がやってみたい素材を持ち込んで、それに加工をしてもらいましょう。

できれば、自分で商材をセッティングして、配置しやすいかどうか、加工テーブルいっぱいに並べるといくつできるのか、実際の加工には何分かかるのかなどをチェックしましょう。単品加工しているだけではわからない部分も見えてくるはずだ。

また、導入した後、必ず「掃除」を自分でしなければならないので、掃除がしやすいかどうかのチェックも必要です。

7、パーツ、部品在庫をちゃんともっているか確認する

 故障した時、すぐにメンテナンスに来てくれるかどうかは別問題。現在、OGBS向けに日本で普及しているレーザー加工機のほとんどが海外に本社を持っています。

つまり、故障しても交換するパーツや部品を、メーカーやディーラーが持っていなければどうにもならなりません。発振器やベルトなどの在庫は持っていても、珍しい部分が故障した場合、海外からの取り寄せになり、修理が1~2週間遅れてしまうこともあります。

導入しようとしているメーカーやディーラーがパーツや部品をどの程度の種類、量をストックしているのか、確認しておきましょう。

8、新品の機械と3年後の機械を見比べよ

これも難しい話ですが、できるなら是非チェックしておきたい項目です。展示会のデモなどで見る機械は、ほとんどが新品か、あまり使用していない機械がほとんどです。その動きや生産性を知るのは大切なことですが、長期間使用していくとレーザー発振が減衰したり、あちこちに不具合が出てくるもの。それ自体がダメなのではありません。

機械である以上、それが宿命と言えますが、3~5年後に、導入したいレーザー加工機がどんな状態になっているのかを把握しておけば、今後の計画も立てやすくなるでしょう。

メーカーやディーラーにユーザーを教えてもらい、見学させてもらうのも一つの手です。

9、生産性アップには必ずしも大型機が解決策ではない

 これまで小型機を使っていたけど、生産性をアップしたいと考え、中型機や大型機にランクアップしようと考える人がほとんどです。基本的にその考え方は間違っていません。加工エリアが広くなり、出力がアップすれば、生産性もアップします。

しかし、それが絶対に正解というワケではないんです。例えば、レーザー加工専業のスタッフがいる場合。大型機にすると、商材を配置、回収するのに時間がかかり、レーザー加工中は時間が余ってしまいます。「加工中に次のデータを用意すればいい」と思うかもしれませんが、データ作りは手間がかかったり、微妙な設定が必要だったりして、気が付くとその作業に没頭し、加工が終わっていた、ということがあります。これでは生産性はさほど向上しません。

実はこうした場合、大型機を1台ではなく、中型機を2~3台導入した方が効率が上がると言われています。レーザー加工前にすべてのデータを作り、あとは時間差でそれぞれのレーザーに商材を並べ、加工が終わると商材を回収する。次の機種が加工を終えると商材を回収し、新たな商材を並べて加工をおこなう……こうしたサイクルの方が、結果的に生産性がアップする場合もあります。

どちらのスタイルが自社に合っているか、見極めましょう。

10、発振器が交換できるか

 レーザー発振器は、レーザーの心臓部。これが壊れると、レーザー光が出なくなります。また、レーザー発振器には寿命があります。これは使用する時間などによって異なるので一概に言えませんが、徐々にレーザーの出力が減衰し、4~7年で交換することが多いようです。

OGBSが定番として使用しているレーザー加工機は発振器を交換できるタイプがほとんどですが、中には交換不可の機種もあります。そうした機種を導入する場合は、寿命が4~7年と覚悟しておきましょう。

11、保証、保守、メンテがしっかりしているか

 レーザーユーザー全員が口を揃えて言うのが、「保守」「保障」「メンテ」の3点セットです。これまで説明したように、機械である以上、レーザーもいつかは故障します。その時にどう対応してくれるかが大きなポイントになります。

交通の便のいい都市部であれば、メンテや保守はスムーズですが、地方であればあるほど、交通費や対応時間がかかります。また、保守契約をする場合は、どのパーツが無償でどこまでが有償なのかを確認し、それらのパーツの寿命も頭に入れておきましょう。

レーザー加工機は導入してからどれくらい効率よく動かすかが肝心なのです。

12、安全性に配慮したアドバイスをしてくれるか

 レーザー加工機は安全な機械ですが、それは正しい使い方をしている前提。レーザーユーザーの中には、危険を承知で蓋をあけたまま加工したり、ゴーグルやレーザーシールドをしないままYAGやファイバーを使っている人もいます。この真似は絶対しないように、正しい使い方を教えてくれるメーカー、ディーラーを選びましょう。

正しく使っていても、加工する素材によっては火災が起きる可能性もあるので、正確な知識を持つことが重要です。

レーザー加工機の基礎を知りたい人は、OGBSマガジンVol38「レーザー加工機がわからん!!」をご覧ください。

ogbs38

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