たくさんのオリジナルＴシャツ店で利用されているプリント手法～トナー転写の基礎と知っておきたいプリント手順

ウエアプリントの方法として広く親しまれているのが「トナー転写」という方法です。

トナー転写紙の基礎と転写紙の構造

トナーは、それ自身がホットメルトタイプのプラスチック。つまり、溶けてつく性質を持っています。その受け皿となる転写紙の表面にも接着性のあるホットメルトの樹脂が塗られているのが一般的。トナーと表面の樹脂、両方の接着性で生地につくため、ウエアプリントが可能になります。

トナー転写を手掛ける際によく言われるのが「トナーの種類に気を付ける」こと。トナーには重合トナー、粉砕トナーがあり、ウエアプリントでよく使われているのが粉砕トナー。これはカーボンや樹脂、バインダーなどを混ぜて練り、それを砕いて作ったトナー。一方の重合トナーは、着色剤や添加剤を化学合成して作っています。重合トナーの多くは低温で溶けて定着するため、粉砕トナーより熱を必要とせず、紙にプリントすることができます。最近ではより低温で定着する「エコトナー」も開発されています。

しかし、ウエアプリント用の転写紙は布地につけるため、最低でも１００℃以上の熱が必要になります。重合トナーはこの高温によって中の染料が昇華してしまいます。つまり、重合トナーを使ってウエアプリントすると色抜けの危険性があります。そのため、多くの転写紙メーカーでは粉砕トナーを使用したプリンターを推奨している。近年では重合トナーを使ってウエアプリントしても、「これ以上昇華しない」ように抑え込む転写紙が発売され、話題となっています。

たった4ステップ一般的なトナー転写のプリント手順

トナー転写の一般的なウエアプリント手順は、
①プリントした紙をカット……レーザープリンターで転写紙にデザインを出力後、カッティングプロッターで輪郭をカットします。

②カス取り……余分な部分を取り除く。細かい部分をカス取りするには注意が必要。熟練の技が要求されることも。

③リタック……ラミネーターなどを使い、転写紙の絵柄をアプリケーションフィルムに移す作業のことです。転写紙とフィルムを重ね、ラミネーターにかけたり手貼りするなどの手法があります。

④熱プレスして完成……絵柄をボディに乗せて熱プレス。フィルムを剥がし、さらに離型紙を置いて再度プレスして完成です。

トナー転写はプリンターと熱プレス機、カッティングプロッターの３つでできる低投資が魅力で、ウエアプリントビジネスをはじめようと考えているショップや工場では定番のプリント方法。とても簡単な作業でフルカラーのウエアプリントが１枚から作れる手法として人気を集めています。