和牛が捺したパンダのハンコ。2017「歳の印」を発表！

全国の有力印章業者の経営者団体である全国印章業経営者協会（略称：JS会）は12月4日、東京・渋谷のヨシモト∞ホールにて『歳の印』のお披露目をおこなう「捺印式」を実施した。歳の印とは、2017年を振りかえって一番印象の深かった出来事を絵柄として彫刻したハンコ。絵柄も彫刻もすおべて一流のハンコ職人が手作業でおこない、文字だけにこだわらないハンコの楽しみ方と製作技術の凄さをアピールした。

捺印式には、立ち合い人として今年活躍したジャングルポケット、和牛、相席スタート、マヂカルラブリーの、4組のよしもと芸人を招き、実際に「歳の印」を捺す栄えある「捺印人」には、前日惜しくもＭ１グランプリで準優勝となるもお茶の間を大いに沸かせた和牛の２人が選ばれた。

衆院選挙ではなく「香香」が選ばれた理由は？

捺印式では、４組の芸人が2017年の「歳の印」モチーフとしてどんな絵柄が選ばれたかを予想。流行語となった「このハゲー！」や棋界の「ひふみん」など様々な予想が出された。そして絵柄が伏せられたまま、和牛の２人が歳の印を色紙に捺印。色紙を会場に見せるとそこには36㎜角という小さな枠の中に、パンダの親子の絵柄が彫られていた。つまり、2017年の「歳の印」は6月12日に上野動物園（東京都台東区）で誕生したジャイアントパンダ「香香（シャンシャン）」の母子。
全国印章業経営者協会は「香香」を選んだ理由について、
「今年は衆議院選挙がおこなわれ、芸能界や相撲界でも大きなニュースがありましたが、年の半ばに誕生してニュースとなって以降、半年間にわたって途切れることなく明るい話題となった香香を2017年の象徴的なモチーフに選びました。香香の成長とともに景気も上昇しているように思われ、そういった明るい気運が2018年にも続いて行って欲しいという願いを込めて製作しました」。

ハンコ職人の神業に思わず「スゲー！」

今年の「歳の印」を製作したのは、佐賀県武雄市のハンコ職人、小林修二さんと小林伸語さん親子。父の修二さんは印章業界の競技会で何度も労働大臣賞（最高賞）を受賞した達人で、その卓越した技能が認められ平成12年に「現代の名工」（卓越した技能者表彰）を、平成16年春に「黄綬褒章」を受章。息子の伸語さんも文部科学大臣賞、経済産業大臣賞など多数のトロフィーを持ち、「テレビチャンピオン・全国ハンコ職人選手権」（平成15年）で優勝を果たすほどの腕前。

今回の「歳の印」では、息子の伸語さんが印の判下（デザイン）を担当し、父の修二さんが彫刻を担当するという親子共作で製作をおこなった。もちろん機械は一切使わず、すべて手作業。
「歳の印」の現物を間近で見ると、神業というべき技術の凄さがよく分かる。

香香の背景には、パンダの故郷である中国の竹林が描かれ、朱と白の線画でありながら遠近感がうまく表現されている。さらに拡大するとパンダの毛並みの一本一本まで精密に彫刻されており、ハンコの４隅には桜、朝顔、銀杏、椿という四季の草花を配して１年間の時の流れをイメージ。その花弁の１枚１枚も手抜きなしにミクロレベルで彫刻されている。

実際に捺印した和牛やジャングルポケットらも、捺印後の印面を見て口々に「スゲー！」と、その神業に驚嘆。印面を指さして「実物をよく見て、凄いから」と、報道陣に声をかけていた。

芸人のキモイ顔ハンコで「もっと楽しんで」

捺印式では他にも、４組の芸人の顔写真をデジタル処理して彫刻したユニークなハンコも登場。キモリアルな味わいのハンコがモニターに大写しにされると、会場が沸いた。顔ハンコはそれぞれの芸人にプレゼントされ、彼らは口々に「ぜひプライベートで使いたい」と好評だった。

同協会は、来年も「歳の印」を継続していく計画で、「『歳の印』がその年のシンボルマークのように記憶されることを願っています。数年後に振り返って『この印影って2017年だったよね』と思い出してして頂きたい」（同協会）。