2016.07.19

金属にレーザー加工できる?意外と知られていない3種類のマーキング剤

レーザー加工業者が使用する一般的なCO2レーザーでは、金属への加工は難しいとされています。中にはハイパワーレンズなどを使って金属マーキングをおこなっている業者もいますが、大多数は「マーキング剤」と呼ばれる薬品を使用しています。マーキング剤を使ってレーザー加工すると、金属にも黒く(マーキング剤の色によって変わります)金属に色を付けることができます。結果的に、表面が彫れたようにみえます。このマーキング剤、一体どんな使い方をするのか、詳しく見ていきましょう。

3種類のマーキング剤~使用量が調整できるペーストタイプ

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マーキング剤には大きく分けて3種類あると言われています。それが、ペーストタイプ、スプレータイプ、テープタイプです。どのタイプを使っても、結果的には金属に黒っぽい文字、絵柄をマーキングできます。この3種類は、主に加工担当者の「好み」と「コスト」によって使い分けられているようです。
 ペーストタイプは水またはエタノールで希釈して筆で加工対象物に塗布します。ペーストの種類にもよりますが、希釈の比率は原液2~4に対してエタノール(水)1の割合。慣れてくれば原液の比率を下げることができるので、無駄が少なくなります。希釈、筆での塗布が手作業なので手間がかかりますが、マーキング面積に応じて使用量が調整できるため、コストパフォーマンスに優れていると言われています。ペーストタイプは厚く塗ればそれだけ黒くレーザーマーキングできるわけではありません。むしろ、厚塗りすることでペーストが乾燥せず、マーキングがうまくいかなかったり、乾燥してからポロポロと剥がれてしまうこともあるので、注意が必要です。コツは均一に薄く塗ること。希釈濃度によってコストも変わってきます。ペーストタイプの価格はメーカーによっても大きく変わりますが、100gで1万1000円前後が一般的なようです。

ペーストタイプが上手く塗れている例

ペーストタイプが上手く塗れている例

ペーストを厚く塗り過ぎるとこのように剥がれます

ペーストを厚く塗り過ぎるとこのように剥がれます

3種類のマーキング剤~手軽に均一に塗布できるスプレータイプ

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 スプレータイプは文字通り、マーキング剤を加工対象物にスプレーで塗布することができます。手軽で均一に塗布できるので、愛用しているユーザーも多数います。ただし、スプレーなので、加工しない部分まで塗布されるため、無駄も多いようです。金属マーキングの仕事が大量にあるなら、作業効率を優先させてスプレーを使うといいでしょう。価格は約170g入りで9000円。

3種類のマーキング剤~加工位置が決まっている場合はテープタイプが無駄がない

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テープタイプは、ガムテープのようなマーキング剤です。ハサミで切って必要な個所に貼り付けてからレーザー加工します。加工する位置が決まっているものであれば、テープタイプを使えば無駄が少なくなります。ただし、切って貼るだけとは言え、意外に手間が掛かるので、レーザー加工業者では使っている業者は少ないようです。また、価格も高く、50㎜×1・27mで4万6000円前後です。
ペーストタイプ、スプレータイプ共にレーザー加工後、水で洗い流す。テープもレーザー加工後、剥がしてから水で洗うのが一般的です。

どのタイプを使うかは自由ですが、国内で最も流通しているのはペーストタイプ。その次にスプレー、テープと続きます。全て使ってみて、自分がよくおこなう加工にどれがあっているのか、どれだけコストがかかるのか検証してみましょう。

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