レーザー加工機には集塵脱臭機は必須なのか？そのギモンにお答します！

レーザー加工機の導入を考えている人の多くが、一緒に「集塵脱臭装置を買うべきか」を悩んでいます。初期投資は抑えたいけど、後で買い足すことを考えたら一緒に買った方がいいんじゃ……と。そこで、このコラムでは集塵脱臭機とは一体何なのか、どんな構造でないとどうなるのか……を解説します。

集塵脱臭機無しでレーザー加工すると一体どうなる？

レーザーを使用する際、加工エリアで発生したガスや煙は集塵脱臭機やブロアー（排気装置）でレーザー加工機の外に排出するのがセオリーですが、逆に集塵脱臭機、ブロアーをつけずに加工するとどうなるのかメーカー各社に聞いてみました。すると、口を揃えて「ミラーやレンズに汚れが付着して、すぐダメになる」という答えが返ってきました。加工する素材によって違いはあるようですが、アクリル、木、ゴムなどをレーザー加工すると、ヤニやガスが必ず発生します。集塵脱臭装置がなければ、それらが行き場をなくして機内に溜まってあちこちに付着したり、レーザー光を阻害することもあるそうです。
ミラーはレーザー光を反射させる役割で、レンズはレーザー光を集める集光レンズ。どちらも重要な部分で、交換すると高価。集塵脱臭装置をケチったばかりに、レンズとミラーを交換するハメになると本末転倒です。あるレーザーメーカーによると、何もつけずにレーザー加工すると本体が１～２年しか持たない、と教えてくれました。集塵脱臭機、ブロアーをつけることで、本体そのものがと長持ちするのは間違いないそうです。
ブロアーは機内に溜まったガスやヤニを外に吸い出すための装置で、多くは加工場の外にホースを伸ばして排気しています。気を付けなければならないのは、排気するのが街中の場合。加工時の臭いが元で近隣住民、飲食店経営者などから苦情が入ることもあります。集塵脱臭機を使えば、そうしたトラブルを回避できる。基本構造は図の通りで、第１フィルタ、第２フィルタで集塵を行い、活性炭ボックスで脱臭をおこなっています。

レーザーメーカーであるグラボテックの集塵脱臭機の場合は、第１フィルタに６枚のシートを使い、第２フィルタにマットを設置。次に０・０９㎜以下の粉塵を吸着する「ＨＥＰＡシート」を使用し、活性炭ボックスを通って外部に排気される仕組みをとっています。
このほか、活性炭ボックスの上に「ゼオライト」と呼ばれる物質を使って、臭いの元を吸着する集塵脱臭機もあります。ゼオライトは福島原発事故の際に「セシウムも吸着するのでは？」と注目を集めた物質。この噂の真偽はわかりませんが、そう期待されるほど脱臭に効果があるということでしょう。
また、レーザー加工する物質によって、集塵脱臭機、ブロアーを選び分けるレーザー加工業者もいます。マーク地ばかりカットする使い方、木製品ばかり加工する、紙ばかりカットする……など、粉塵の質にあわせて最適な集塵脱臭機が変わってくるそうです。

集塵脱臭機にはランニングコストがかかるってホント？

メーカーや使用頻度、加工する素材によって大きく違いが出ますが、「集塵脱臭機はランニングコストがかかる」と考えてください。交換するのは、第１フィルタ、第２フィルタ、活性炭ボックスの３つ。第１フィルタはロール状のシートで発売されている場合もあり、一般的なユーザーだと20ｍロールを約３ヶ月で使い切るそうです。第２フィルタのマットは４ヶ月に１回の交換、活性炭は半年に１回交換します。この場合、ランニングコストは１ヶ月で約２０００円前後。
これはあくまでも机上の数字であって、実際のユーザーの中には交換すべきフィルタを何度も使ったり、多少臭いがしても活性炭を交換せず使うこともあるので、ランニングコストはもっと安いのが現状。一方、ヘビーユーザーの場合は20ｍのロール状シートを１日で使い切ることもあるというから驚きです。レーザー加工に集塵脱臭機、ブロアーは必須なので、そこにかかるランニングコストも頭に入れておきましょう。
レーザー加工ビジネスをするなら、集塵脱臭機は必須、と考えておいた方がいいでしょう。近隣に建物が無く、風通しのいい、屋外でしか使わない場合は、ブロアーだけでもいいかもしれません。

レーザー加工についてもっと知りたい方は、OGBSマガジンVol.33「レーザー加工のQ&A」をご覧ください。