オリジナルTシャツ店の定番プリント手法「トナー転写」の性能を左右するのは何?
トナー転写という手法は便利で簡単にオリジナルTシャツを作ることができますが、メリットもあれば、もちろんデメリットもあります。その詳細をご紹介します。
トナー転写の強みと弱み
トナー転写の最大のメリットは、低投資ではじめられることと、フルカラーや写真表現が1枚から簡単にプリントできることにあります。ちなみに、フルカラー表現については溶剤インクジェットプリントにも同じことが言えます。紙にCMYKでプリントするため、ガーメントプリンターや昇華転写よりハッキリと写真を表現できるのが特徴です。
最大のデメリットは、転写できるサイズがプリンターの出力サイズに依存するため、A3ノビ程度までになること。そして、「カス取り」作業が必要なことです。
トナー転写の性能は、転写紙の質によって大きく左右されます。転写紙の種類やメーカーによって大きな違いがあるので、導入前にはしっかりとしたリサーチが必要になります。転写紙の種類も豊富で、撥水生地用、濃色ポリエステル用の再昇華防止機能付きなど、様々な生地に対応した転写紙が用意されています。カス取りに悩むウエアプリント店も多いようですが、最近では各社から絵柄だけを転写することができる特殊な転写紙が発売されているので、試してみるのもいいでしょう。
単色注文の場合、トナー転写ではコスト的に無駄が多いので、ラバーシート圧着を併用するショップがほとんどです。すでにレーザープリンターを持っていても、トナー転写用にはそのまま使えないことが多いため、ほとんどの転写紙メーカーはトナー転写専用のプリンターの導入を勧めています。
トナー転写の性能を左右するのは?
トナー転写でのウエアプリントはトナープリンター(レーザープリンター)の性能も大きく関わってきます。生産性を左右する「プリント速度」、どれだけ大きな絵柄を転写できるかを決める「プリントサイズ」、どんな表現ができるかを決める「トナーの種類」など。一般的にはプリント速度よりも熱プレスする方が時間がかかるので、気にしない店が多いようです。しかしある程度の量産を考えてプレス機を複数台用意する場合はチェックしておきましょう。
プリントサイズも重要。プリンターの多くが大きくてA3ノビ程度なので、それ以上のサイズをウエアプリントしたければ、トナー転写以外の製法を選んだ方がいいかも知れません。トナーの種類で注目したいのが、CMYK以外の色。蛍光CMYKから蓄光、ホワイト、クリアなど。転写紙によってはホワイトやクリアトナーがないと使えない種類もあるので、注意が必要です。
トナー転写はプリンターの性能と転写紙の性能、トナーの種類でプリントできる生地やできる表現が違ってきます。ウエアプリント店として、やりたいことに合わせてプリンターや転写紙を導入ましょう。
トナー転写はオリジナルTシャツ作りの世界では比較的古くからある手法ですが、転写紙やプリンターの性能は日進月歩。今でも進化を続けています。今後も新しい表現やより低コスト、簡単に作れるシステムがどんどんと登場してくると考えられます。これからどんな進化を遂げていくのか、楽しみですね。
トナー転写について詳しく知りたい方は、OGBSマガジンVol.40掲載の「あなたの知らないトナー転写の世界」をご覧ください。
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