Tシャツに直接インクジェットプリントできる驚異のシステム「ガーメントプリンター〈DTG〉」とは?
小ロットオリジナルTシャツプリントにもってこい! Tシャツに直接プリントできる機械
ガーメント(garment=衣類)に直接インクジェットプリントして、オリジナルのTシャツを作ることができる機械。それが「ガーメントプリンター」です。原理的には市販されているインクジェットプリンターと変わりありません。ガーメントプリンターは一部では「ダイレクトインクジェットプリンター」、「ダイレクト・トゥー・ガーメント(DTG)」とも呼ばれています。
ちなみに、縫製前の布地にプリントする機械はテキスタイル(textile=布地・織地)プリンターと呼ばれ、ガーメントプリンターより歴史が古く、アパレルメーカーの製品作りなど、大きな工場で使われるのが一般的です。
ガーメントプリンターに使用しているインクは顔料系が多く、前処理剤と呼ばれる特殊な薬剤をTシャツに吹き付けることでインクの受理層を作り、その上にプリントします。白地など淡色のTシャツにプリントする場合は前処理剤を使わなくても、キレイにプリント出来ます。プリント手法は使用する工場、ショップによってそれぞれなので、独自のやり方を編み出してください。
ガーメントプリンターのスゴい所
ガーメントプリンターを使えば、簡単にオリジナルデザインのTシャツやスウェットを1枚から、フルカラーで作ることができます。これまでのシルクスクリーン印刷の場合は、1色ごとに「版」を作る必要があったため、色数が増えれば増えるほど「版」の数が多くなり、料金も高くなってしまう。しかし、ガーメントプリンターなら「版」を作ることなく、何色でも使うこととができます。シルクスクリーン印刷では煩雑な写真の印刷も、紙にプリントする感覚でTシャツに出力できるのも大きなメリットです。
Tシャツをプリントする方法は他にもトナー転写やインクジェット転写などがありますが、これらはシートに絵柄をプリントして、それを貼り付ける方式なので、「貼りつけた感がある」と敬遠するウエアプリントショップや消費者もいます。しかしガーメントプリンターなら、布地に直接インクを乗せるので、プリント後の手触りや風合いがいいのも特徴です。
ガーメントプリンターには、大別して2つのモデルがあります。それが、CMYKの4色インクを搭載したモデル、CMYK+白インクを搭載したモデルです。CMYKの4色モデルの場合、プリントできるのは白など淡色のTシャツに限られます(黒いTシャツにプリントすると絵柄が見えなくなるので)。そこで登場したのが、白インク搭載モデル。黒や紺など、濃色のTシャツにプリントする際、最初に白インクをプリントし、その上からCMYKのインクを乗せることで、絵柄を表現することに成功しました。
現在発売されている小型ガーメントプリンターでは、ほとんどが白インク搭載モデル。または、導入時に白インクを搭載するかしないかを選ぶことができます。
人気のガーメントプリンター現行モデル
現在、注目されている小型のガーメントプリンターはおよそ100~200万円で発売されています。
2015年6月に武藤工業が発売したのが「VJ-405GT」と「VJ-404GT」です。「VJ-405GT」はCMYK+白インク、「VJ-404GT」はCMYKの4色を搭載しています。
2013年に発売されて話題となったのが、エプソンの「SC-F2000」です。白インク搭載の「ホワイトインクモード」と淡色ボディ用の「高速カラーモード」の2モデルが用意されています。
2012年の発売以来、高い評価を得ているのが、ブラザーの「GT-3」シリーズ。
「淡色ボディ用」、「白インクモデル」、「高速白インクモデル」と3つのセッティングが用意され、購入後、「白インクが欲しい」となった場合、グレードアップも可能です。
厚物プリンターの開発を得意とするマスターマインドが生み出したのが、「MMP8130」。CMYKの4色モデルは99万円という驚きの低価格で販売されています。
ガーメントプリンターは今後もメーカー各社で開発、研究がすすむと見られているので、ウエアプリントビジネスで見逃せない製造システムと言えます。
ガーメントプリンターについて更に詳しく知りたい方は、OGBSマガジンVol.28「基礎から最新まで学ぶガーメントプリンタ―」をご覧ください。
どのガーメントプリンターを使って、どうビジネスを展開しているのか、ガーメントプリンターの悩みや利点、活用術を知りたい方は、実際に導入した店を取材した記事、OGBSマガジンVol.31「ガーメントプリンター、使ってみたらこうだった」をご覧ください。
また、前処理剤からプラテン、熱プレス機、自動前処理剤塗布機、濃色ポリ用の前処理剤など、ガーメントプリンターの詳しい知識を知りたい方は、OGBSマガジンVol.42「ガーメントプリンター虎の巻」をご覧ください。
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