2017.08.09

お名前つけグッズの製法と特徴~スタンプ・シール編

小学校の入学準備で名前をつける持ち物の数がいくつあるか、ご存知ですか。答えはおよそ300~500点。体操服、通学帽、上履き、教科書、筆記用具、絵の具セット、リコーダーなど、様々なものに名前をつけます。学校によっては、個人情報保護の観点から登下校時に身に付ける物への記名を控える場合もあり、名前を付けるアイテムの数は学校ごとに変わります。しかし、足し算や引き算を学ぶ「算数セット」を使う小学校ではセットの中身の計算カード、数え棒、おはじき、図形の色板といった教材1点1点に名前をつけなくてはなりません。実際に名前つけをする保護者にとっては大きな負担です。

そこで活躍しているのがお名前グッズ。名前が書かれたシールやスタンプを活用して手軽に名前つけをおこないます。しかし、名前を付けるアイテムは様々な素材でできており、使用環境によって最適なお名前つけの方法も変わります。そこで本稿は、お名前つけグッズの特徴と販売時の注意点を素材別、製法別に解説していきます。

 

手軽に使えて汎用性の高いスタンプ

平仮名やカタカナなどの氏名ゴム印。印面さえ作ればポンポンと捺すだけで手軽にお名前つけができます。お名前つけスタンプの形態は、サイズ別に別製した耐油性ゴム印と布用スタンプ台などが保管用ケースに入った「オーダーセット品」と、ゴム活字を自由に組み合わせて印面を作る「差込印」の2種類に大別されます。

「オーダーセット品」は、6~15本のゴム印を付属したものが一般的。鉛筆用やおはじき用など、持ち物の大きさに応じて様々なサイズのゴム印がセットになっています。布素材などに捺せる耐油性の印面を使用し、台木の種類はプラスチックや木製など。スタンプ台はプラスチックや金属、布、木に捺せる速乾性タイプで、布専用のスタンプ台を別に付属するものもあります。その他、捺印に失敗した時の修正に使うクリーナーや、真っ直ぐ捺せるガイドなどの便利アイテムを加えている場合も。

 

組み換えできる差込印は兄弟に便利

「差込印」は、使用者自身が平仮名や数字などのゴム活字をゴムシートから切り離し、1文字ずつ組み合わせてお気に入りの印面を作るというもの。スタンプ台が本体に内蔵されたセルフインカータイプや浸透式が多く、スタンプ台を使わずに連続捺印できるのが特徴です。印面の組み替えができるため、「兄弟で使いたい」という時も、いちいち買い足す必要はありません。オーダーしていては間に合わないという急ぎの駆け込み客にも勧められます。

OGBSの場合、レーザー加工機などの製造システムがあれば、台木やゴム板を仕入れてスタンプを自作することも可能。卓上スタンプ作製機で浸透印を製造する方法もあります。基本的にひらがなやカタカナなどの名前を印面にするだけなので、版下データの作製は難しくありません。印章店の中では、サイズ別の氏名ゴム印とスタンプ台を組み合わせて独自のセット品を販売する店もあります。

メーカー各社からも様々なお名前つけスタンプが発売されています。内製が難しい店なら、こういった商品を仕入れて販売するといいでしょう。メーカーが印面部分を作製、購入者に直送するメールオーダータイプが主流なので、「印面が加工できない」というOGBSも気軽に販売できます。

注意点としては、目の粗いタオル地など素材によっては綺麗に捺せなかったり、耐久性が劣る場合があります。お名前つけに適した物、そうでない物を知るために、まずは自店で試し捺ししてみましょう。

白インクがなければ濃色素材に捺しても見えないのも短所。別の方法を使うか無地のシールや熱圧着シートに捺印して貼る、という手間もかかります。またスタンプ台には可食インクが使われていないので、弁当箱や食器など口にする部分に捺すのは避けましょう。

長所…………布や金属、プラスチックなどの素材に対応しているので、利便性が高い。浸透印やセルフインカーは連続捺印できるので、大量もののお名前つけに便利。レーザー機や浸透印製造機があれば内製も可能。

短所…………素材によっては綺麗に捺せないことがある。洗濯頻度の高い衣類はインクの落ちが早い。ワッフル地のような凹凸ある素材も不得手。白インクがなければ濃色素材では見えない。基本的に可食インクを使用しないので、箸やスプーンなどの持ち物には注意を。

対応素材…………木・金属・プラスチック・ビニール・紙・布

スタンテックの差込印

スタンテックの「TL-882 DIYセット」は、ゴム活字を組み合わせて印面を作る差込印タイプ。布へのお名前つけに対応している。

 

 

 

お名前付けグッズの定番「シール」を知る

シールはお名前つけの定番グッズ。台紙から剥がして貼るだけなので、誰でも簡単にお名前つけができます。しかも安価で販売する側にとっても、シール用紙を仕入れてプリンター、カッティングプロッターなどの簡単な設備で内製できるため、ハードルが低い。ネット通販などで売る場合も、送料が安価で済むため、低価格で提供できます。

短所は耐久性の低さ。鉛筆やもの差しなど摩擦頻度の高い材質はシールの破損や剥がれる恐れがあります。子供が自分で剥がしてしまうことも少ありません。また布製品に対応できないため、オールマイティとも言えません。対応する素材はプラスチックや金属、木製の文房具など。耐水性のラミネート加工が施されたシールなら、弁当箱や箸、スプーンなど水洗いが必要な持ち物にも貼れます。

現在市販されているお名前シールのほとんどが、1枚の台紙に様々な形状やサイズのシールが貼付されており、多いものだと1シートに100点以上付いたタイプも存在します。

キャラクターや絵柄の可愛いものも多く揃っていますが、最近は機能性を高めたシールも登場しています。例えば「薄手シール」は、色鉛筆セットなどの持ち物に便利。厚手のシールだと互い違いに貼らないと厚みが出てケースが閉まらないことがありますが、薄手シールを使えばそのトラブルも解消できます。

 

おはじきに貼るミニシールも

「算数セット」に特化したシールもあります。おはじきの凹凸や数え棒の細い部分にもしっかり貼れるよう、素材や形状、サイズを考慮したミニシールです。シールの面積が小さいので、剥離しやすい台紙を使うなど工夫が施されています。

取り扱う際は、事前にシールを取り寄せて品質や使いやすさを必ずチェックすること。サイズのラインナップは十分か、シールの角がすぐにめくれないか、ラミネートシールはしっかり撥水加工されているか……など、様々な持ち物にシールを貼って仕上がりを確かめましょう。

 

長所…………台紙から剥がして貼るだけなので、誰でも簡単にお名前つけができる。名前+キャラクターのイラストタイプなど、サイズやバリエーションも豊富。算数セットに対応したミニシールもある。価格が安価で製法、設備のハードルも低い。

短所…………摩擦頻度の高い素材に貼ると破損、剥がれの恐れがある。布製品に使えないので、アイロンプリントやスタンプなどのグッズが別に必要。

対応素材…………木・金属・プラスチック・ビニール・紙

シールでお名前付けしたサンプル

「文具用フィルムシール」のクリアタイプでお名前つけしたサンプル。厚みが薄いため、鉛筆などの細い曲面や算数セットなどの小さい持ち物にも綺麗に貼ることができる。

 

 

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