製版用フィルム出力機の選び方
シルクスクリーン印刷やフレキソ印刷、金属銘板から各種ゴム印製造に欠かせない製造資材と言えば、ネガ、ポジの製版用フィルムです。
古くからオーダーグッズ業界で親しまれてきた資材ですが、ここ数年で様々なメーカーから製版用フィルムを出力するプリンターが相次いで発売されていることをご存じでしょうか?
背景にあるのは、「熱転写プリンターの販売終了」です。
例えばハンコの業界では、ゴム印や樹脂印作りに製版カメラやイメージセッターなどが使われてきました。その際にインクリボンを使った小型の熱転写プリンターを使うケースが多く、中でもマイクロドライプリンター「MDシリーズ」(アルプス電気製)や「キモセッターシリーズ」(きもと製)が有名です。
しかしMDシリーズは2010年に、キモセッターシリーズは2015年に販売を終了。MDについては16年5月にサプライ品の販売終了が発表され、キモセッターはあと2~3年で、きもとのサポートが打ち切りとなっています。そのため、今後の見通しに不安を覚えるユーザーが増加したと考えられます。
フィルム出力機はインクジェット? トナー? サーマル?
これはハンコ業界に限ったことではありません。ウエアプリントでシルクスクリーン印刷を手掛ける業者も、様々な商材に名入れをおこなうスクリーン印刷工場も同じです。
「オンデマンド」、「ダイレクト」という最新機種では処理できないほどの大量注文や、昔からある設備を活かし、「版」を使って印刷するオーダーグッズ業者の多くが「MDシリーズ」や「キモセッターシリーズ」を使っています。そのため、オーダーグッズ業者は両シリーズの販売終了と共に、新しい製版用フィルム出力機探しが必要になりました。
こうしたハンコ、ウエアプリント、オーダーグッズ業者のニーズに応えるべく、各メーカーが製版用フィルム出力機の新商品を市場に投入し始めました。これらを利用する業者にとっては一安心、というところでしょう。
最近の製版用フィルム出力システムの傾向としては、熱転写プリンターよりもインクジェットプリンターを独自にカスタマイズしたものが増えてきました。他にもトナー方式のレーザープリンターを使用した機種や、サーマル(感熱式)タイプも新商品が発売されています。
インクジェット、トナー、サーマルの中からどれを選べばいいのか難しいところですが、やはり出力されたフィルムを実際に見ることが大きな判断基準です。
出力フィルムの6つのチェックポイント
出力フィルムの主なチェックポイントは次の通りです。
・細い線の表現……枠に使われる細い線に黒が被っていないかをチェックしましょう。
・黒の濃度……製版時に光をきちんと遮ってくれるだけの濃度があるか、ピンホールがないかをチェック。実際に出力サンプルを手にして、光にかざしたりライトテーブルの上で確認しましょう。
・文字の潰れ……インクジェットプリンターでネガ出力する場合、インクの量が多すぎると文字が潰れてしまうことも。小さな文字でもハッキリ出力されているかを見ましょう。
・透明度……フィルムそのものが持つ透明度も重要。フィルムによっては乳白色など色が付いている場合がある。露光時の光の透過度が違ってくるので、チェックしましょう。
・文字の鮮明さ……ポジの場合は小さな文字がキレイに出力されているか、エッジが立っているかをチェック。どれだけ細い線が出力できるのかも見ておきましょう。
・網点……スクリーン印刷で良く使うポジフィルム出力では、網点表現が求められることがあります。%に応じた網がしっかり出力されているかをチェックしましょう。
明朝体の「一」、「二」、「三」をチェック
製版用フィルム出力機はいずれもネガフィルム、ポジフィルムの両方を出力することができます。
ネガフィルム出力の際にチェックしておきたいのが、「黒が高濃度か」、「出力した黒が製版時に光を通さないか」、「細い文字でもつぶれがなく綺麗に再現できているか」です。特に明朝体のような細いフォントは実際のサンプルを見て確認しましょう。
文字の潰れはゴシック体の「製」の字などで見ると分かり易いと言われています。また、細い線がきちんと出力されているかを見るには、明朝体で「一」、「二」、「三」や、英数字の「-」「.」などを出力したサンプルを手に入れましょう。
この他、フィルムそのものが持つ光の透過度も重要。一番理想的なネガフィルムは、黒い箇所(プリントした箇所)は光を全く通さず、プリントしていない箇所は、光を全て通すものと言われています。
ポジフィルムの場合、ネガフィルムと同様、潰れや切れなく細かい文字が再現出来ているかを見ましょう。網点表現のチェックは10%~90%の網点サンプルを主力してもらいましょう。
他にも出力スピード、印字濃度や線幅調整といったRIPソフトの機能にも注目したいところです。もちろん、価格・コスト面も大きなチェックポイント。本体やフィルムなど消耗品の価格、プリントコストは比較する上で重要なファクターとなります。
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