2017.04.26

象牙業者は登録、5年更新制へ

 

2009年に一時輸入された象牙の写真

2009年に一時輸入された象牙(撮影:㈱ゲンダイ出版)

 環境省は2月28日、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)の改正案が閣議決定されたと発表しました。
 改正案には、象牙製品等の製造販売事業者を5年ごとに更新が必要な登録制度にすること、違法な取引についての罰則を強化し懲役刑も新設することなどが含まれます。これらの改正案は今国会で審議され、可決されれば1年ほどの猶予期間を経て施行されます。

 種の保存法・改正案の象牙に関連する主な改正点は次のとおり。
・象牙製品等の製造販売事業について、現行の届出制を登録制に変更。登録申請には審査があり、5年毎に更新が必要となる[第33条の10](更新には手数料がかかる[第33条の21])。また法令違反により登録が取り消されると、その後5年間再登録できない。

・事業者が所有する全形牙の登録の義務化[第33条の6](小売店の店頭陳列用も含む)。
・象牙のカットピース等の管理票作成の義務化[第33条の23]。
・象牙製品等の広告、販売時の登録番号等の表示義務化[第33条の11]。
・事業者登録簿の公開[第33条の8]。
・罰則の強化。懲役刑を新設(懲役5年、罰金500万円等[第57条の2]。法人は罰金1億円等[第65条第1号])。

 この改正案について、経済産業省および環境省は3月28日、「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」の第4回会合を開催し、関係者、関係団体らに説明をおこないました。
 この会議は、象牙取引に関する関係省庁、象牙業界関係者、電子商取引(インターネット)事業者、通信関係団体、野生生物取引調査団体、有識者が集まり、今後の象牙と象牙製品の持続可能な利用を維持するために話し合うもの。印章業界からは(公社)全日本印章業協会と全国印判用品商工連合会の各代表が出席。

 会議は、経済産業省別館の会議室で午後3時からスタート。始めに協議会の参加機関の追加について上程があり、両省が古物業界および質屋業界に対する周知をおこなってきた流れから、今回よりこの会議に全国質屋組合連合会、東京都古物商防犯協力会連合会の新規参加が認められました。加えて、全国邦楽器商工業組合連合会のオブザーバー参加も了承されました。

 続いて環境省から、種の保存法・改正案のうち象牙関連部分について説明がおこなわれました。
 種の保存法の改正理由としては、未届の事業者や届出事業者による違反事例等が確認されており、現行制度では、事業者が法令違反を犯しても罰金(50万円)を支払う等すれば事業が継続できるため、その対策が必要なこと。

 また、昨秋に南アフリカで開催されたワシントン条約第17回締約国会議(COP17)で、アフリカゾウの密猟とその象牙の違法取引を抑制するため、「密猟や違法取引に寄与している市場の閉鎖」を勧告する決議が採択され、国内市場の適正管理を継続するためにも、より厳正な対応が必要となったことがあげられました。
 会議参加者からの質問に対しては環境省から、
「適正に入手された象牙から製造された製品であるという認定を示す標章(認定シール)については現行のまま変更ない」
「ネットオークションへの象牙の出品については、個人による1回限りの販売であれば、事業性がなく規制の対象外だが、個人であっても反復してそのような行為をおこなう場合は、事業とみなされる場合もあり、その場合は事業者としての規制がかかることになる」等が説明されました。

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