2015.10.15

呼び名は「シャチハタ」じゃないんです。スタンプ台いらずの「浸透印」とは?

シャチハタ=浸透印?

一般消費者からすると馴染みのない「浸透印」という名称ですが、「シャチハタ」と言えばわかるはずです。「浸透印」は印面が液体を浸透するスポンジ状の素材で出来ていて、ホルダー内のタンク(または印面そのもの)にインクを貯留する構造を持っています。

昭和39年にシヤチハタが発明したことから、一般的には「シャチハタ」と呼ばれることが多いようです。フェルトペンのことを「マジック」、写真シール機のことを「プリクラ」と呼ぶのと同じですね。浸透印という正式名称はハンコの業界以外では通用しないようです。

浸透印には塩が入っている?

浸透印は印面が凹凸なタイプとフラットなタイプに大別できます。

凹凸タイプは、塩の結晶を練り混んだ樹脂をプレスで凹凸の印面に加工(加硫)した後、水で塩の結晶を洗って(脱塩)スポンジ状にする原理で、そのため脱塩式と呼ばれています。耐久性に優れ、ヘビーユーザーに好まれています。凹凸タイプの浸透印を作っているメーカーとしてはシヤチハタサンビー谷川商事タイヨートマーなどです。近年は脱塩後の素材をレーザーで直接彫る製法も確立され、別注浸透印の多くがこの製法で作られています。

凹凸タイプの印面

凹凸タイプの印面

卓上製造を可能にしたフラットタイプ

フラットタイプはガリ版刷りと同じ孔版印刷の原理で、浸透印の卓上製造を可能にしました。浸透素材の表面を覆うフィルムを露光製版してインクが通る部分と通らない部分を作り出しています。

フラットタイプの浸透印は写真やロゴマークなどの画像を鮮明にスタンプにできるのが長所。ただし、印面が平らなので、摩耗などによって破損しやすいという弱点があります。

フラットタイプの代表的な製造機はブラザー販売が発売する「スタンプクリエータープロSC-2000」です。

フラットタイプの印面

フラットタイプの印面

浸透印は進化を続けている

ネーム印から住所判までホルダーのサイズ種も豊富で品質が高いのも浸透印の長所。最近ではキャップを取らなくても片手で捺せる「キャップレスタイプ」が登場。看護や流通の現場などで重宝されています。

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