2016.07.29

流行のデコパーツやキャラクターも? アクセサリー感覚で楽しめる「カジュアル印材」とは

カラフルで手頃な価格が人気のカジュアル印材。もともとは動物系印材や宝石など天然材料の代替品でしたが、近年はラメや和紙、デコパーツなどを取り入れたファッショナブルな印材が次々に登場しています。印材とケースが同柄のシリーズ商品もあり、好みのカラーを揃えて楽しむ人も増えています。

カジュアル印材

 

牛乳が原料? カジュアル印材の材質は様々

 

牛乳イメージ

カジュアル印材の代表的な素材は「ラクト」と「アセチ」。これらは、既製の認印や卒業印を安く大量に製造する素材として戦後に登場しました。
「ラクト」は、カゼイン(牛乳に含まれる蛋白質に酸を加えて凝固したもの)が原料で、乳白色をしていることから象牙に代わる「人工象牙」と呼ばれました。略して「ジンゲ」、「新象牙」という別名でも呼ばれています。固いため、象牙などと同じ彫刻機で彫れるのが長所ですが、その固さゆえ縁が欠けやすいという欠点があります。

「アセチ」はセルロイドが原料でラクトより柔軟性があるため欠けにくいのが特長です。ただし、高速の彫刻機で彫ると摩擦熱で溶けるため、彫刻機の針を低回転させて彫らなければなりません。また、合成樹脂のため周辺環境によって変色することもあります。

ラクトとアセチの両方の長所を備えているのが「アクリル」です。彫りやすく、ラクトより欠けにくく、色もカラフル。透明にもできるので、近年はこのアクリルを使ったファッショナブルな印材が多く開発されています。中空状の透明アクリルに和紙を入れて多種類の絵柄を可能にした「おしゃれはんこ」は、アクリルの長所を活かしてヒットした代表例と言えるでしょう。

朱肉入れもお揃いのデザインで

恋するはんこ

恋するはんこ

他にも、アクリルにスワロフスキーなどのデコパーツやチャームを取り付けたり、人気キャラクターをプリントした樹脂系印材が発売されています。最近では多様化する若者の好みに合わせてデザインの種類も拡大し、印材に幾何学的なストライプやタータンチェックをプリントしたポップなものなども登場。カラフルで個性的、多種類なため、象牙や黒水牛などの伝統的な印材よりもあえて、こういったカジュアル印材を選ぶ人も少なくありません。お揃いの絵柄のケースが一緒にラインナップされていることも多いので、トータルでコーディネートできる点も魅力。中には専用の朱肉壺がセットになったものもあり、商品を選ぶ楽しみが広がっています。

スマートフォンカバーやネイルアートのように、ファッションの一部としてハンコを持つ人達に人気があるカジュアル印材。また、価格がリーズナブルなため、家族や友人へのギフト用など、ハンコの新たな用途が生まれたという点でも、カジュアル印材の功績は大きいでしょう。もはや、天然材料の安い代替品とは呼べない、独自の地位を確立していると言えます。

お手入れと保管方法

素材により異なりますが、朱肉やインクによって、色が染まったり、変形、変質する恐れがあるので、使用後は柔らかい布等で印面の朱肉をよく拭き取ることをお勧めします。デコパーツ付きは、外れることもあるので丁寧に扱いましょう。保管場所は、特に気にしなくても良いですが、固い場所に当たると割れたり欠けたりすることもあるので注意が必要。アセチなど変色の恐れがある素材は、ケースに入れて保管しましょう。

 

カジュアル印材や、他の印材について詳しく知りたい方は、
月刊 現代印章 増刊号 知らないと恥ずかしいハンコ屋の常識をご覧ください。

 

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